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としてあげられる。
2.基礎所得(最低限)保障型/ベバリッジ・モデル
すべての人に国民最低生活(ナショナル・ミニマム)を保障するというベバリッジ原則を引き継ぐもので、均一的基礎所得保障を主とする。裕福な人は私的保険で希望する生活水準を補うことになる。イギリス、アイルランド、スイスなどが代表的な国である。
3.労働者保険型/ビスマルク・モデル
賃金労働者を対象とし、所得比例給付と職業別保険を特徴とする。保険の財政運営は雇用主、労働者、国でなりたつ職業別自治管理組織によって行なわれる。就労権そのものの保障よりも金銭的補償としての社会保障の権利に重点がおかれ、女性や障害者などの非就業者が対象グループから締め出されるのが、このモデルの特徴である。多くのヨーロッパ諸国、ドイツ、オーストリア、イタリア、ベルギー、オランダ、フランスなどがこのモデルに属する。
4.公的・普遍的生活水準型
すべての国民を対象とし、国民最低生活保障ではなく、一定の生活水準を保障する。内容的には、基礎所得保障型と所得比例保障を組み合わせたものだといえる。1955年に導入された、スウェーデンの医療保険はすべての人を対象とし所得比例で給付する保険としては世界で最初のものである。スウェーデンのほか、ノルウェー、フィンランドがこのモデルを代表する。デンマークはイギリスとともに、基礎所得保障から水準保障への転換をはかろうとしたが、もうひとつ成功していない。

 

したがって、スウェーデンの社会保険の給付原則は大きく次の三つに分類される。
1)一律額給付(児童手当金、国民基礎年金等)
2)所得比例給付(傷病休業手当金、失業保険、育児休暇手当金、国民付加年金等)
3)ニーズがあるが所得状態がともなわない場合、ニーズ認定を必要とする給付(住宅手当金等)
サービス利用料金を利用者が一部支払う場合でも、この原則が基本的に適用される。たとえば医療サービスに関する場合は、所得の大きさにかかわらずすべての人が定額の料金を支払う。しかし、保育所利用料金やホームヘルプサービス料金は所得の大きさに比例して支払うものである。また、ニーズの高い人(長期的に服薬や医療サービスを必要とする)に対しては、これ以上支払わなくてもよいという支払い控除が適用される。

 

 

 

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